「ラスコー」というと、世界史の教科書を思い出す人も多いのでは?
先史時代の美しい壁画で知られるラスコーの洞窟。見学者の増加で傷みが進んだため、1963年には見学禁止となりましたが、一部のレプリカが、1983年洞窟のすぐ側に「ラスコー2」としてオープンし、今もドルドーニュ県で一番の集客力を誇っています。
しかしながら、最寄の町モンティニャック(Montignac)は、パリから500キロメートル南方にあるので、なかなか簡単に足を運べる場所ではありません。
そのラスコー洞窟を再現する展覧会が、今パリで開催中です。
行かない手はありません。
もう「ラスコー2」なら見たよ、という方!ここで読むのをやめてはいけません。
そういう方も、間違いなく楽しめること請け合いだからです。
というのは、この展覧会「ラスコー3」と銘打たれているように、「ラスコー2」では見られない部分の新しいレプリカを多く含むものなのです。
1940年に偶然このラスコーの洞窟を発見した子供たちは、この生き生きとした動物の絵を見るなり、原始の魂が乗り移ったかのように、手足が動き、歌い踊らずにはいられなかったと言います。
この「ラスコー3」展覧会は、3D映画上映や、マルチメディアを駆使したインタラクティヴな展示が特徴となっています。また、人の吐く息や、人体の発する熱がどのくらい洞窟に悪影響を及ぼすかも、光や緑の煙で見られるようになっており、なぜ洞窟見学が禁止されたのか納得させられます。
実は、フランスの文化省では、現在、モンティニャック・ラスコー国際洞窟壁画芸術センター(CentreInternational de l'Art Pariétal Montignac-Lascaux)の設置を計画中です。このプロジェクトは、非常に大掛かりなもので「ラスコー4」とも呼ばれています。オープン予定は、2016年夏。オープンされれば、更に多くの観光客がモンティニャックに押し寄せることでしょう。
今年のところは、パリにいながらにしてラスコー壁画を満喫できる「ラスコー3」を、ぜひお楽しみください。
パリ・ラスコー展(Lascaux à Paris)
住所:Paris Expo, Porte de Versailles, Pavillon 8/B,
1 Place de la Porte de Versailles, 75015 Paris
最寄駅:地下鉄12番線Porte de Versailles駅/トラムT2, T3
URL:http://www.lascauxaparis.com
開場時間:5〜6月10:00〜18:00、7〜8月 10 :00〜19 :00
展覧期間:2015年8月30日まで
休み:5〜6月の火曜日
入場料:15.9€(大人)、12.9€(12歳未満)(英語あるいはフランス語のオーディオガイド付き)
冠 ゆき
山田流箏曲名取。1994年より渡仏。大学院での研究の傍ら、大学や専門学校で日本語日本文化講師を勤める。2000年より、ポーランド、イタリア、中国の生活を経た後、2013年フランスに戻る。旅好きでもあり、今までに訪れた国は約40カ国。六ヶ国語を解する能力と多様な文化に身をおいてきた経験を活かし、柔軟かつ相対的視点から、フランスと世界のあれこれを切り取り、webマガジンCafeglobe、とっておきのフランスInfoなどで日本に紹介中。