南フランスコードダジュールから続く北西部イタリアのリヴィエラ海岸に位置するリグーリア州は、温暖な気候で太陽に恵まれオリーブ油の大産地で有名です。
そして、リグーリア州の州都ジェノヴァは、コロンブスの出身地で有名ですが、中世の時代強大な海運国としてヴェネツィア共和国と最強を二分し、現在もイタリア第一の港湾施設を誇ります。
1997年、ユネスコの世界遺産に認定されたチンクエ・テッレ(Cinque Terre)とは、東リヴィエラ海岸(Riviera di Levante)に位置し、ジェノヴァからモンテロッソ・アル・マーレ(Monterosso al Mare)、ヴェルナッツァ(Vernazza)、コルニーリア(Corniglia)、マナローラ(Manarola)、リオマッジョーレ(Riomaggiore)から成りたっている5つの漁村のことをいい海にそびえ立つ岩山や小さな湾でできた集落です。
人口は5つの村を合わせて約4千人ですが、観光客が毎年約250万人訪れますので、村は活気があり、とても賑わっています。
遡ること11世紀、この場所は要塞として生まれ、それから約千年もの間、隣の村とは船で交流をしていました。列車や車は当然ありませんでしたので、外敵や異文化が入りこむこともなく現在までほぼそのままで残っていたことから世界遺産に認定されました。
隣の村との道が開通されたのは35年前(1980年代)からです。
さらにチンクエ・テッレは岩湾地の急斜面で、農業には向かない不毛の土地にも関わらず、漁業だけでは生活が苦しい村人が硬い岩盤を砕いて砂を作り、セメントは一切使わずに小さな岩と岩を重ねて畑を作りブドウの種を植えました。
その知恵を絞ってブドウが栽培され、数百年かけて土地も徐々に開拓されて、厳しい状況の中で海岸からの潮の風をいっぱい浴びて豊富なミネラルを得ることができワイン作りに成功しました。
そのワインはジェノヴァの商人に売り生活をしていました。
当時の王宮貴族がチンクエ・テッレのワインがテーブルにあることを非常に誇りにしていると伝えられています。そして、極上シャケトラワインを求めて貴族たちはチンクエテッレに別荘を建てたことからこの土地が注目され始めました。
この知る人ぞ知る甘口の白ワインで有名なシャケトラ(Sciacchetra')ワイン。
毎年の生産量は年間たった3000ℓほどで、白ブドウであるアルバローラ種とヴェルメンティーノ種の皮が赤くなる年にのみ作られるので、やはり幻の貴重なワインとして有名で、チンクエ・テッレ内でしか売っていません。
手摘みのブドウを時間を費やして選別し、2か月間日陰干し、その後、熟成期間は樽に1年間からリセルヴァ(Riserva)の場合は3年間かかります。
お値段もかなりしますが、特にワイン好きの方は、一生に一度試飲してみる価値はあると思います。
気になるお味は、凝縮した甘ったるくそれでいて口の中は爽やかスッキリとした感じです。
人によれば梅酒にどこか似ているようですが、色は赤みのある金色です。
ハーフボトルで€40から売られています。
このハーフボトルの量はブドウが約10キロ使われているそうです。
超高級ワインですが、ガブガブ飲むワインではなく、少しずつデザートと一緒に味わって飲みますのでデザートワイン(食後酒)になります。
地元のレストランやトラットリアに行きますと、シャケトラグラスワインが€8から€10で飲めます。
また、マナローラの中心にシャケトラワインの博物館(Museo dello Sciacchetra')もあります。
チンクエ・テッレカードで無料で入場できますので、ぜひ見学してみてください!
チンクエ・テッレの土地の人々は今でも生まれた子供に貴重なシャケトラワインを数滴飲ませて祝うそうです。
一度、この貴重なそして幻のシャケトラワインを求めてイタリア北西部東リビエラ海岸チンクエ・テッレに来てみませんか?
【データ】
シャケトラワインの博物館(Museo dello Sciacchetra')
住所:ディスコヴォロ通りVia Discovolo,Manarola-Riomaggiore
Tel:0187-760511
開館日:月〜日曜日
開館時間:10:00〜18:00
チンクエテッレの行き方:ピサ=ラ・スぺツィア=ジェノヴァ線の列車に乗ります。
ジェノヴァからは約1時間半程度、ラ・スぺツィアからは、約10分から30分程度で到着。
ケイコ
大学卒業後、中学教員を経てイタリアミラノへ渡伊。フィレンツェ、ローマ、ナポリにも在住。昨年7月よりラスペツィアに移住。ローマ国立アカデミアサンタチェチーリア、イタリア国立音楽院修了。愛の妙薬でイタリアオペラデビュー。イタリアと日本で音楽活動を行う。趣味はF1観戦、ハーブティーを毎日飲む、メルカート(青空市場)で掘り出し物探し。ヨガ、ドッグシッター。兵庫県出身