ペナン島の世界遺産ジョージタウンから車で10分ほどのプラウティクス地区には、様々な寺院が集まっています。中でも話題を集めているのは「リフティング仏陀のお寺」と呼ばれるタイ式寺院です。
1942年にタイから来た僧により建立されたお寺です。
タイのお寺らしい、きらびやかな門をくぐって中に入ります。
敷地内には、仏像だけでなくヒンドゥー教や道教などの様々な神像も祀られており独特の雰囲気です。
さて、こちらが話題のリフティング仏陀です。3体並んでいるうちのどれ?と思われるかもしれませんが、正解は手前にある小さな仏像がリフティング仏陀です。教えてもらわなければ見落としてしまいそうです。
このリフティング仏陀は、その人の願いが成就するかどうかを教えてくれる、ありがたい仏様なのです。重さは約10kgです。タイからもたらされたもので、1000年以上前に作成されたものと言われています。
次のような手順で、願いが叶うかどうかを試すことができます。
1、仏像の前に正座し、精神を集中して願い事を思い浮かべる。
2、仏像の体をしっかりとつかみ、持ち上げる。
3、持ち上がったら、一度仏像を置き、再び持ち上げる。
4、2回目に持ち上げようとしたとき、持ち上がらない場合はその願いは成就し、持ち上がる場合は成就する確率50%。(逆も同じ。すなわち1回目に持ち上がらず、2回目持ち上がるは願い叶う、2回とも持ち上がらないは叶わず。)
そんなバカな!と思われるかもしれませんが、本当に持ち上がる時は簡単に持ち上がるのに、持ち上がらない時は急に重くなって持ち上がらないのです。
これは本物の神秘体験なのか、精神的な何かが影響しているのか、いずれにしてもとても不思議な体験ができます。
続いて、こちらは寝釈迦物寺院です。リフティング仏陀のお寺と同じくタイ式の寺院です。リフティング仏陀のお寺は、どちらかと言うと小ぢんまりとしたお寺ですが、こちらは大きくてかなり派手なお寺です。
お堂の前では、7つの首を持つ大蛇や、玉をくわえた黄金の龍が出迎えてくれます。
お堂の入り口には、2体の巨大なハヌマーンと半人半獣の不気味な神様が立っています。
まるで体育館のようなお堂の内部には、33メートルの巨大な寝釈迦仏像が安置されています。その大きさ、色使いの派手さに圧倒されます。
寝釈迦仏の前に祭られているのは、金箔に覆われた高僧のミイラです。その前には生前の姿を写した写真が飾られています。
最後にご紹介するのは寝釈迦仏寺院の向かいにあるビルマ寺院です。ビルマ、すなわちミャンマー様式のお寺です。
ミャンマーの仏像は、やさしい女性的なお顔立ちをしているのが特徴です。金色の法衣をまとった巨大な釈迦如来像はとても美しく一見の価値があります。
入り口正面の建物に巨大な釈迦如来像が祀られていますが、渡り廊下で敷地の奥に入っていくと、もう一つお堂があり、こちらにも釈迦如来像が祀られています。やはりこちらも女性的なお顔立ちです。頭の後ろにある光背が電飾になっており光っています。ミャンマー式の仏像には、こうした電飾が施されていることが多いのですが、光り輝く釈迦如来の本来の姿に少しでも近づけるためだそうです。
ペナン島はかつて東インド会社の支店があり中継貿易で繁栄した場所です。世界各地から様々な人々が訪れて、定住する人もいました。このため、様々な宗教が信仰されています。仏教ひとつ取ってみても、中国寺院だけでなくタイ式、ビルマ式のお寺が存在します。こういったコスモポリタンな雰囲気こそがペナン島の大きな魅力のひとつとなっています。
阿部 吾郎
24年間旅行会社に勤務した後、2013年に独立し「トラベルガイド株式会社」を設立。「人がそこに行きたくなる写真」をテーマに国内外で写真撮影を行っている。同社が運営するマレーシアの旅行情報サイト、トラベルガイド・マレーシアにも自身で撮影した写真が多数使われている。その他、旅行写真素材の販売、旅行記事の執筆、旅行会社へのコンサルティングなどを手掛る。最近はマレーシアに年4~5回程度渡航。その他、旅行会社時代の経験も含め得意な方面は、台湾、香港、マカオ、シンガポール、アイスランドなど。