![](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014333048602.4.jpg)
高麗人参と牛肉とリンゴの美味しい町から友人が遊びに来た話
![新緑の浮石寺。秋に紅葉を迎えた時期もたいへん美しい](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014430859054.jpg)
正月に韓国から友人が遊びに来ました。グルメな友人たちで、午前10時に待ち合わせのホテルへ行くと、「築地で寿司を食べていま戻ってきたよ。4時間待った!」と満面の笑顔。昼は天ぷらを食べたいとのことで専門店に連れて行ったのですが、揚げたてのエビ天を食べて、「天ぷらがこんなにさっぱり仕上がるとは!」と感心していました。1日かけてさらにあちこち食べ歩き、どうやらなんとか楽しんでもらえたようです。
そんな中、少し残念だったのが(というより承知の上でしたが)、彼らの出身地があまりに日本で知られていないということ。観光案内所に韓国語の話せるスタッフがいらしたので...。
「慶尚北道の栄州(ヨンジュ)って知ってます?」
と問いかけてみたところ、ふたり尋ねて、ふたりともNO。まあ、かくいう僕も彼らと親しくなる前までは、まるで何も知りませんでしたしね。
![浮石寺の無量寿殿。国宝第18号に指定されている](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014430859175.4.jpg)
位置的には韓国の中東部。ソウルから高速バスで2時間30分程度の距離に栄州はあります。有名観光地である安東(アンドン)の北部に隣接し、冒頭の写真にもある浮石寺(プソクサ)が有名。創建が新羅時代の676年と古く、本殿に当たる無量寿殿をはじめ、なんと5つもの国宝を有するという由緒あるお寺です。
![朝鮮時代からの歴史を持つムソム村へと渡る1本橋](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014430859234.2.jpg)
あるいは韓国ドラマ好きの方でしたら、「ラブレイン」の1本橋があるところ、という説明でピンくるかもしれませんね。
友人が携えてきた自慢のご当地土産に大感謝
![紅参チョルピョン。小箱に入っておすそ分けにも便利](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014474489243.jpg)
そんな栄州は高麗人参の産地としても有名。写真はふたりがお土産にと持ってきてくれたものですが、紅参(ホンサム)という燻蒸した高麗人参のチョルピョン(スライスした蜂蜜漬け)です。高麗人参といえば薬効は素晴らしいものの、特有の苦みが気になったりもしますよね。個人的にもっともビギナー向けというか、万人受けするのがこのチョルピョンだと思っています。ほどよい甘さと、ねっとりとした食感。少しずつオヤツのように楽しんでいます。
![豊基駅前の高麗人参市場。建物内に小売店が並んでいる](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014474489332.3.jpg)
高麗人参の市場は市内の豊基(プンギ)地区にあり、韓国では豊基人参(プンギインサム)としても有名です。鉄道の豊基駅前という便利な立地なので、秋の収穫期になると全国から人がわんさか。地元でも高麗人参祭りを開いたり、高麗人参入りのビールを新たに開発したり、力を入れている特産品のひとつです。
地元民がコレしか食べないという牛肉の部位
![栄州韓牛のカルビサル。炭火で焼いてシンプルに粗塩で](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014513330207.6.jpg)
そんな栄州には美味しいものがたくさんあり、その中のひとつが牛肉。こちらは栄州韓牛(ヨンジュハヌ)と呼ばれて全国的にも高い評価を受けていますが、地元の人たちにはちょっと珍しいこだわりがあって...。
「栄州の人はカルビしか食べない!」
のだとか。
![グルメな友人の本業。肉を切るときは真剣そのもの](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014513330299.6.jpg)
厳密にはカルビサルという骨を外したカルビを熱烈に愛好。写真はそのカルビサルを丁寧にカットしているところですが、この人物こそが日本に来た友人のひとりであり、エビ天に衝撃を受けていた人でもあり、栄州市内の人気焼肉店「東南風(トンナムプン)」の若社長でもあります。
![新鮮なユッケも自慢のひと品。梨の千切りを添えて](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014513330358.3.jpg)
店のメニューを見ると、5種類あるうちの3種類がカルビサル。肉質によって細かく分類されており、残りのふたつはハラミとユッケです。トゥンシム(ロース)などははじめから用意がなく、地元の人たちの好みがよく象徴されています。
<店舗データ>
店名:東南風(동남풍)
住所:慶尚北道栄州市繁栄路173番キル13(栄州洞330-14)
住所:경상북도 영주시 번영로173번길 13(영주동 330-14)
電話:054-635-6842
意外な発見!リンゴがつなぐ日韓友好の絆
![栄州はリンゴの名産地。モモやブドウなどもよくとれる](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014570447157.8.jpg)
そして、もうひとつ栄州で美味しいのがリンゴ。日本人にとって親しみが持てるのは、栽培されている大半が日本生まれの「富士」(韓国語読みではプサ)であるということですね。日本の品種と、韓国の気候風土が融合し、美味しいリンゴになるのです。
![サグァマルレンイ。浮石寺ついでにぜひ買い求めたい](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/img/15012014570447255.9.jpg)
そのまま食べても美味しいですが、サクサクに乾燥させたサグァマルレンイはお土産にもぴったり。冒頭で紹介した浮石寺の参道に露店がたくさん出ており、名物のひとつとなっています。
買う時のコツは、できるだけたくさんの店で味見をすること。いくつか食べ比べてみると、甘味の強いもの、酸味の強いもの、サクサク感の強いもの、しっとりさを残しているものなど、本当に千差万別です。人によっても好みがあるので、自分の納得する味を見極めてから買うのが重要ですね。その真剣勝負がまた楽しいものだったりします。
そのほか、栄州はサツマイモが名産だったり、良質の大豆がとれたり、生姜ドーナツが有名だったりと、グルメ派にとってはどれから食べようか目移りするような地域。日本での知名度はなくとも、ぜひ1度足を運んでみてください。
![八田 靖史](https://www.studyabroad.co.jp/files/blog/tabiisara/writer/18.jpg)
八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。