(セミナー「国連事務局などで働く、国際公務員になるには?」外務省 国際機関人事センター職員をお招きして 2016年4月23日 地球の歩き方「成功する留学」東京デスク実施)
「世界のために働いている」という熱い思いがあることから、職員の仕事に対する満足感が高いと言われている国際公務員。就職先として関心を持つ方も多いはずです。ただ、普通に就職活動をしている限りは、国際公務員の募集を目にすることはありません。なぜなら国際公務員は大学新卒者採用はなく、特定の専門分野で一定のキャリアを形成し、スキルを持った方が採用の対象になるからです。
では、どのような人材が国際機関では求められているのでしょう?
なお、国際公務員には専門職職員と一般職職員がありますが、ここでは専門職職員についてまとめています。
1:国際機関で正規職員として働く方法
国連事務局(UN)、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)、経済協力開発機構(OECD)などの国際機関では、世界共通の目的を実現させるため多くの加盟国がひとつになって運営しています。
それぞれの国際機関の人材の募集も欠員や新設ポストの公募という形式で行われています。しかし、非常に競争率が高く、英語を母国語としない日本人にとっては高いハードルとなっているのが現状です。
そこで、外務省では「JPO( ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度」という国際機関の正規職員を希望している若者を対象に派遣経費を原則2年負担し、派遣終了時に正規ポストを獲得できるよう、知識と経験を積む機会を提供しています。結果、5070%の高い割合(年度による)で当該派遣制度利用者が正規職員に採用されています。
他にも、「国連事務局YPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)」という若年者向けで国連事務局の生え抜きの職員を採用する試験も国連では実施していますが、これも「募集公告」同様、高い競争率となっています(日本人の合格者は少数です)。
2:国際機関で正規職員として働くにはどのようなスキルが必要か?
高い専門性(修士号+実務)
国際機関では、即戦力となる人材として専門家が求められていることから、修士号と職歴(実務経験)が必要になります。ここで注意すべきは、学んだことと職歴による経験が一貫していることです。専門性を磨くためには、学士号職務修士号と一貫した分野でのキャリア形成をおこなうことが大切です(図表:専門分野を構築するためのキャリアパス参照)。
2016年現在、国際機関では、開発、人権、人道、教育、保健、平和構築などの分野に加え、IT、ロジスティックス、調達、法務、財務、広報(渉外関係)、人事、モニタリング評価(M&E)、環境、工学、理学、薬学、建築といった各分野の背景をもつ人材が広く求められています。
このことから、これから国際機関で働くことを目標とする方は、該当機関の業務内容に直結した専攻を学び、専門性を高めていく必要があります。
一般的に国際政治、経済、国際法や人権などの社会科学分野、また、国際機関によっては、医療、教育、社会福祉、農業、金融政策などの專門学位が有効です。今後は、気候変動、ジェンダー、人権保護、紛争解決などの知識がより重要になってくることも想定されています。
専門性と国際機関の関連
専門分野を構築するためのキャリアパス(例)
英語力
専門分野を持つことに加え、英語でコミュニケーションが図れることも国際機関で働くためには必要不可欠です。空席広告での応募時の履歴書では、語学力は自己申請ですが、書類選考通過後に面接があり、英語で自己PRしなくてはいけません。TOEFL iBTテストで何点取れば合格圏内といった指標は存在しませんがJPO合格者の多くは100点を超えています。
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