海外で身につく能力と企業が留学生に求める要素を知る
私は普段、留学のアドバイジングを行っている傍ら、留学帰国者の就職支援も行っています。
留学帰国者をキャリアカウンセリングしていて感じることは、留学した本人が留学先でどんな力を身に付け、成長が出来たのかをしっかり認識できていない傾向が実に多いということです。これにはたいへん驚きました。
せっかく海外で身に付けた力や資質を自覚できていないのですから、留学経験が自信に結び付いていないのです。その結果、帰国後の就職活動の企業面接の場面においても、留学で身に付けた力をしっかりアピールできないことになります。
そうすると面接官からしたら「結局、海外に遊びに行っただけか」や「日本が嫌になり海外へ逃げただけか」というレッテルを貼られてしまい、内定から遠ざかってしまうという結果に陥ってしまう。実に勿体ないことですね。
そうならないためには、留学前に、留学でどんな力が身に付き、どのような成長ができるのかを、しっかり理解した上で留学することが大切なのです。これらの内容を意識して
海外生活を送ることで、それらの力がよりスピーディかつ顕著に身に付きます。
そこで、海外生活をした1583名のアンケート結果より、海外で身に付いた力に関するアンケート結果をご紹介しておきましょう。
海外体験者アンケート調査(有効回答数1583件)によると、回答者の7割以上が「習得できた」と自覚している能力・資質は以下の通りです。
出典:「海外就業体験が若年者の職業能力開発・キャリア形成に及ぼす影響に関する調査研究」(平成25年度厚生労働省委託 JAOS海外留学協議会調べ)
上記の表で、特に回答が多かったものをまとめると、
- 国際感覚・異文化適応能力
- 幅広い視野
- コミュニケーション力
- 主体性・積極性
- 外国語能力
- 忍耐力・我慢強さ
が挙げられます。
海外生活で身に付く力を考えた場合、一般的に出てくるのは、外国語能力ではないでしょうか?もちろん、その力が身に付いたと回答した海外生活者も多いのですが、それ以外にも上記のような実に多くの能力・資質が身に付いたと回答していることに注目してください。
さらにこれらの力と企業が求める力との関連性も見ていきましょう。
下記の表は、中小企業1,069社のアンケート結果で、海外体験のある若年者に企業が期待する能力・資質を調べてみました。
出典:「海外体験を有する若者の採用・活用に関する調査報告書」(平成25年度厚生労働省委託 JAOS海外留学協議会調べ)
いかがでしょうか? 「海外体験で習得できたとする能力・資質」と「企業が海外体験を有する若年者に期待する能力・資質」はかなりの部分が合致していませんか?
それは考えてみれば当然で、文化や価値観・習慣が異なる国で生活をするわけですから、決して楽ではありません。ある意味、苦労するわけです。苦労する分、人間力が磨かれ成長ができるわけです。要するに、企業は自分で成長できる人が欲しいわけですから、留学で身に付けた能力・資質を持った人材は魅力に感じるのは当然なのです。
ここでの大切なポイントをまとめます。
まずは、留学前に、海外で身に付く能力・資質を知ること。次に、それぞれの能力・資質の中から自分が特に身に付けたい力を選び、その力を身に付けるための留学先でのプランニングを立案すること。あとは現地で実行のみです。
ただ漠然と留学するのと、このように予め自分が身に付けたい能力を決めておき、そのための行動プランを作り現地で実行していく留学をするのとでは、留学結果に雲泥の差が生じてしまいます。上記の表の内容を是非ご活用ください。
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プロフィール
本橋幸夫
有限会社あうとりがー 代表取締役
●国家資格 2級 キャリアコンサルティング技能士
●総合旅行業務取扱管理者
大学卒業後、ファイナンス会社入社。その後渡米し、帰国後、スイスに本部を持つ、世界最大級の国際教育機関の日本支社に11年間勤務。2003年に独立し、留学コンサルティング会社、有限会社あうとりがーを設立。その後、留学生の出口である帰国後の就職・キャリア教育の重要性に着目し、2010年、留学生向け就職支援・研修会社にて留学生のキャリア支援にも携わる。その経験を生かし、現在、自社において、留学およびキャリアの両面から留学生を支援している。国内初の留学・キャリアコンサルタントとして活動中。
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